舞台と推しとキラキラと

推しとその周辺に関してぼちぼちと。

アイドルの彼と俳優の彼

今の推しを知る前、そもそも推すとか通うとかそういうことを知る前のことになるけれど、
私はあるアイドルグループの子が「気になった」

あるアニメの派生プロジェクトだったそのアイドルグループは、存在こそ友人経由で知っていたけれど、メンバーの名前とカラーもいまいち一致しない、そんな感じだった。
ちょうどアイドルアニメが流行りだした辺りの出来事で、わたしも漏れなく歌って踊るアニメが好きだった。
イベントで声優が歌って踊るのも楽しみだった。
正直そこで全て完結してたから、なんで同じ曲を声優以外の男の子たちがわざわざグループを作って歌うのか、いまいち納得していなかった。

そんなある意味でアンチ寄りだった私がその子を見たのは、渋谷のタワレコだった。

友達と遊んでぶらぶらしてたとき、知ってる曲が聞こえてきた。
なにやってるんだろう、と興味本意でそのインストアイベントを覗いたとき見つけてしまった。


よく「推しは輝いて見える」なんていうけれど、本当にその時の彼は輝いて見えた。


ずらっと並んだ7人の中で、本当に彼だけが気になった。

別に目があったとかそんな劇的な出会いはなくて、ニコニコしながら一生懸命歌って踊る彼がただ気になった。
終わった瞬間「あの子かっこかわいい!」と同じ子のことを言ったのは面白かった。

それからやっと名前と顔とカラーを覚え、公式動画をきちんと見てチャンネル登録した。

ライブに行きたかった。

だけど、地下アイドルのような彼のグループは3次元アイドル初心者の私にはハードルがあまりにも高かった。

まずコールが分からないし、なによりローカルルールがわからないし怖い。
公式があげるライブ映像は正直新規が入るには厳しい内輪感が漂っていた。きっとそんなつもりは全くなくみんな来てね!というための動画なんだろうけれど、当時の私にはそう見えた。

怖くて現場は行けなかったし、チェキとかもとるのは気が引けた。だから在宅でこそこそ見てるだけだった。
いつか見たいな、のいつかは来るのか来ないのか。たぶんこのままだったら来ないだろうと思いながら公式動画だけ見続けた。

だけど「いつか」はやってきた。
もともとのアニメのイベントで、合同フェスという体で彼らのグループの出演と一時間のライブが決まった。

もともとアニオタで声優のライブは慣れていたので、自分のフィールドに引っ張り込めれば見れると思った。
会場もライブハウスとかではなく、ホールだった。

それでも私は少し迷って、友人を連れて販売開始から少したった頃にチケットを取った。
真ん中より少し後ろの席だった。正直このくらいの遠さの方が気が楽だと思った。

当日は正直がらがらで、私たちの回りはほとんど人がいなかったし、一階後方は空席だった。
それでも初めて見るライブ中の彼らはキラキラしてたし、何より気になるあの子はかわいかった。客降りでハイタッチもしてくれた。

「今回はワンマンじゃなかったけど、いつかワンマンで帰ってきたい」

彼らはそう言っていた。
応援したかった。
だけどやっぱり現場に行くのは怖いままだった。

しばらくして一人が脱退して、そこから約半年後「気になる子」も卒業することが決まった。

現場に行かない接触も行かない、お金を使わないファンだった私と友人は卒業公演はなんとかして行こうと決めて、チケットをとった。

あの卒業公演の雰囲気も、あの子の笑顔も涙も、たぶんずっと忘れないと思う。結果とすれば行って良かったし、行かなかったら後悔してたけど、不思議とそれまでの現場に行かなかったことに対する罪悪感はわかなかった。

そして薄情な私はグループの活動を追うことを辞めて、卒業した子の次の仕事を追うようになった。
運よくすぐに人気2.5舞台の主人公校のメンバーに選ばれたし、その間にも人気のシリーズの舞台にちょこちょこ乗っていた。

あぁ頑張ってるなぁ。

大きなキャパの会場の後方でそう思いながら、なんだかんだで彼が出る舞台はきちんと観に行っている。

だけどあの合同フェスで、

ペンライトが綺麗で感動して泣いちゃった、最高の景色だった。また見たい。

と言ってた彼にはもうその景色は見せてあげられないのが、妙に悲しかった。


彼が卒業して追わなくなったあのグループは、色々あってこの夏解散することになった。


メンバーもさらに減ったし、インディーズになっていた。公式動画も全然増えてなかった。

解散ライブの一連の流れに、彼の出演が決まった。

また歌って踊る彼が見れる。

見に行きたいと思ったけれど予定が合わなかった。
それ以上に、グループを応援してる人たちに申し訳なくて行けないし、行かないのが正解だと思った。

だから私は、彼がまたたくさんのペンライトの景色を見て何て言うか、何を思うのか、これからも聞けないままだ。

合同フェスのDVDを見返して、泣き笑いしながら歌って踊る彼を見て、

あぁやっぱりアイドルな彼が一番好きだった

と今一度思って、すごく悲しくなった。